2日前に発売された第3世代Ryzen。遡ること4ヶ月前、僕はRyzen 7 2700Xを買った。
4ヶ月前の3月。僕は第2世代Ryzenを購入した。当時、第3世代Ryzenが近々発売されるだろうとは言われていた。だが、購入後4ヶ月で実際に新しい世代が発売されるとなんだか少しばかり・・・後悔。しかもSuperまで出るとは。昨日、発売されたNVIDIA GPUの新しいシリーズ「GeForce RTX 20 Super 」。これは全く予想していなかった。CPUとGPUともに新しいモデルがほぼ同時に出るとは。つい思ってしまう。「今買いたかったなぁ」と。仕方のないことだが。
ともあれ、Ryzen 7 2700Xを購入するまでの顛末を、ここに記しておくこととする。
CPUとGPUの最適な組み合わせ?
「グラフィックボードをGeForceにした場合、CPUはintel Core iシリーズを選ぶべきだ。なぜならGeforceはCore iに最適化されているから」
といった情報をちらほら見かけたため、CPUはCore iシリーズから選んだ方が良いのだろうと、漠然とそう思っていた。当初は。
Core i5 9600Kの評判が良さそう
まずはコストパフォーマンスがよい。上位モデルのCore i7や9と比べるとコア数が少なく見劣りするものの、性能的にはそれほど悪くない、といったところか。Ryzen 7 2700xよりも性能は上回るといった情報もあった。
Ryzen vs Core i
Ryzen 7 2700X | Core i7 9700K | |
コードネーム | Zen+ (Pinnacle Ridge) | Coffee Lake Refresh |
コア数 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 8 |
ベースクロック | 3.70 GHz | 3.60 GHz |
マックスクロック | 4.30 GHz | 4.90 GHz |
ソケット | AM4 | LGA 1151-2 |
内臓GPU | なし | あり |
CPUクーラー | あり | なし |
対応メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2666 |
キャッシュ | 16 MB | 12 MB |
ECCメモリ | 対応 | 不可 |
- 1コアあたりの性能はCore iがRyzenを上回る
- スレッド数でRyzenがCore iを上回る
- Core i7~9はGeForce RTX2070の性能を遺憾無く発揮させる
- Ryzen 7 2700xはGeForce RTX2070の性能に対しボトルネック気味
- CGのレンダリングにはスレッド数の多いRyzen 7 2700xが適している
- Photoshopの作業には1コアあたりの性能が良いCore iが適している
- ゲームエンジンにはスレッド数の多いRyzen 7 2700xが適している
シングルスレッド性能が優っているのはCore i。マルチスレッド性能が優っているのはRyzen。基本的にはこういう認識で良さそうだ。ただ、「Core iの1コアあたりの性能の良さは、スレッド数の少なさを補っている」といったテキストがちらほらと散見された。
CGのレンダリングとゲームエンジンでの作業。あとは動画編集。僕が主に行う作業のうちPC負荷の多い作業はこんなところか。こういった作業にはRyzenの方が良さそうだ。しかし、あくまでも印象だが、ネット情報ではどうやらCore iの方が好意的に受け入れられているようだ。(※4ヶ月前、3月頃の印象ではCore i優勢といった感じだったが、7月現在、Ryzen優勢といった印象を受ける。Ryzenの新しいモデル発売といった要素は無視できないが。)
Core i7-9700Kが良さそう
初めてパソコンを自作するということもあり、基本的にはリスクを抑えたいという気持ちに少なからず支配されていた。そのようなマインドに支配されていると、「安定」だとか「相性が良い」といった、具体的ではないが耳障りの良い情報に敏感になっていた。
「GeforceはCore iに最適化されている」。結局この漠然とした情報が最後までひっかっかていた。シングルスレッド性能、マルチコア性能、ソケットの互換性などのわかりやすい性能での比較情報を押しおけて「Geforceは・・・」情報が僕に食いつき続けた。
CPUはCore i7-9700Kにしようと、一旦そう決めた。
参考 BTOモデル「GALLERIA XF ガレリア XF」-ドスパラ-
ドスパラのBTOモデル「GALLERIA XF ガレリア XF」。これで179,980円(2019/3現在)とは。自作しなくても、もうこのモデルで良いのではと思ってしまう。
CPU | インテル Core i7-9700K (3.60GHz-4.90GHz/8コア/8スレッド) |
グラフィック | NVIDIA GeForce RTX2070 8GB |
メモリ | 8GB DDR4 SDRAM (PC4-21300/4GBx2/2チャネル) |
SSD | 500GB |
HDD | 2TB |
後日、ドスパラの実店舗を訪れた。そこであることに気がつくこととなった。ケース。PCケースの重要性だ。性能はもちろん重要だが、見た目や質感が僕にとってかなり気になる項目、購入する上で十分に検討すべき項目として浮かび上がってきた。少なくとも樹脂製のケースの場合、かなり気合の入ったデザインでないと受け入れることができないだろう。PCケース選びは難航しそうだ。
参考 iMac Retina 5Kディスプレイ
これまで使用してきたパソコンはMacだ。そこでMacのスペックも参考にしてみることにした。
CPU | 3.8GHzクアッドコアIntel Core i5 (Turbo Boost使用時最大4.2GHz) |
グラフィック | Radeon Pro 580(8GB VRAM搭載) |
メモリ | 8GB(4GB x 2)2,400MHz DDR4メモリ |
ストレージ | 2TB Fusion Drive |
今回、Macを購入するのではなく、パソコンを自作することになった主な要因はグラフィックボードだ。Macに使われているグラフィックボードがnvidia GeForceからAMD Radeonに切り替わってしまったことだ。僕の使用するソフトウェアはnvidiaのCUDAを使う。AMDのMetalに対応してくれれば、引き続きMacを使っていただろう。ただスペックはもう少しほしいところだが。
Core i7 発熱が問題?
Core i7-9700Kを前提としてマザーボードやメモリなどを物色していた。だがもやもやしたものがふつふつとしていた。
そうこうしているうちにCPU選びの迷走が再開した。きっかけは「どうやらCore i7-9700Kの発熱は対策が必要なレベルらしい」といった情報をいくつか見かけたことだ。CPUクーラーはサイドフローにしなければならない、いやいや水冷にしたほうが良いなど。割とシビアに発熱対策を施す必要があるようだった。
本当にCore i7-9700Kで良いのだろうか。少なくとも僕の求める性能はRyzen 7 2700xが持っているものではないのだろうか。
将来対応はRyzenに分がある。
将来、次世代CPUを導入することもあるだろう。その場合、第3世代RyzenはSocket AM4との互換性を継続しており、取り付けに際しマザーボードを交換しなくとも良い。一方、次世代Core i7を取り付けるには、マザーボードの交換が必須となる。将来コストに関しては、Ryzenに分がある。
コア数が多い方がゲームエンジンでの作業やCGのレンダリングには優位
印象をまとめると、Ryzenのスレッド数の多さは、動画編集など、コア数やスレッド数の多さがより有利に働く作業において、Core iに対し決定的な性能差を提示し得ないようだ。ただ、それはあくまでも印象だ。様々な性能検査データを、その前後にある文脈を極力排してよくよくみてみると、おおよそ僕の作業にとってRyzenの方が不利なデータは無いように思われる。
やはりRyzen 7 2700xだ
CGをレンダリングする、ゲームエンジンを使って建築CGアニメーションを制作するといった、僕が主に行う作業に於いて、性能的にはマルチコア性能が優れたCPUが良いだろう。また、もし性能的に物足りないとなった場合でも、マザーボードの交換をしなくても次の新しいモデルに乗せ変えることも可能なCPUが良いだろう。となるとRyzen 7 2700x以外のCPUを選ぶ選択肢がなくなる。迷走する必要などなかったのだ。
僕はRyzen 7 2700xに決めた。
第3世代は2019中期販売予定か
2019年7月7日。予想通り第3世代のRyzenは発売された。
第3世代Ryzen 9 3900Xと 第2世代Ryzen 7 2700X の比較
Ryzen 9 3900X | Ryzen 7 2700X | |
コードネーム | Zen 2 | Zen+ |
プロセス | 7nm | 12nm |
コア数 | 12 | 8 |
スレッド数 | 24 | 16 |
ベースクロック | 3.80 GHz | 3.70 GHz |
マックスクロック | 4.60 GHz | 4.30 GHz |
ソケット | AM4 | AM4 |
内臓GPU | なし | なし |
CPUクーラー | あり | あり |
対応メモリ | DDR4-3200 | DDR4-2933 |
キャッシュ | 64 MB | 16 MB |
ECCメモリ | 対応 | 対応 |
最後に
今回、CPUを選ぶにあたりいろいろと迷走したのだが、最終的にはRyzen 7 2700xを選ぶこととなった。振り返ると、性能的にも迷う要素はないと思うのだが、それでもCore i7-9700Kに惹かれふらふらとしてしまった。迷走の原因はいくつかあるとは思うのだが、おおよそ次の2点に尽きるのではないかと思う。ひとつめは印象情報に惑わされてしまったことと。もうひとつは根拠のない不安に苛まれたこと。
パーツ選びはいろいろと迷うことは多い。ただ、いずれにせよ、基本は性能情報だ。そこにフォーカスを絞って情報収集する。そこに徹すれば良いのだ。
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